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大阪地方裁判所 平成8年(行ウ)114号 判決 1999年2月25日

原告

小林初子

外四名

右原告ら訴訟代理人弁護士

西垣三

被告

西税務署長

大西信忠

被告指定代理人

山崎敬二

外四名

主文

一  原告小林正三及び同小林初子の本件訴えをいずれも却下する。

二  原告吉田エイ子、同新開多恵子、同速水眞佐子の本件訴えのうち、被告の平成六年六月二九日付けの右原告らに対する更正をすべき理由がない旨の各通知処分及び同年一一月二五日付けの右原告らに対する更正処分の取消しを求める部分をいずれも却下する。

三  原告吉田エイ子、同新開多恵子、同速水眞佐子のその余の請求をいずれも棄却する。

四  訴訟費用は原告らの負担とする。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  小林正之(平成四年四月一五日死亡)の相続に係る相続税について、被告が原告らにした次の各処分をいずれも取り消す。

(一) 平成六年六月二九日付けでした更正をすべき理由がない旨の各通知処分(以下「本件通知処分」という。)。

(二) 平成六年七月八日付けでした更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分(原告正三以外のその余の原告らに対する過少申告加算税の各賦課決定処分を除く。以下「第一次更正等」という。)。

(三) 平成六年一一月二五日付けでした各更正処分(以下「第二次更正等」という。)。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

二  請求の趣旨に対する答弁

1  本案前の答弁

(一) 本件訴えをいずれも却下する。

(二) 訴訟費用は原告らの負担とする。

2  本案の答弁

(一) 原告らの請求をいずれも棄却する。

(二) 訴訟費用は原告らの負担とする。

第二  当事者の主張

一  請求原因

1  小林正之は、平成四年四月一五日、死亡した。原告初子はその妻で、同正三、同エイ子、同多恵子、同眞佐子はその子らであり、それぞれ正之を相続した(以下「本件相続」という。)。

2(一)  原告らは、同年一二月二五日、被告に対し、本件相続につき遺産の一部が未分割のまま計上した課税価格及び納付すべき相続税額を、それぞれ別表1の「申告」欄記載のとおりとして相続税の申告をした(以下「本件申告」という。)。

(二)  原告らは、平成六年一月四日、被告に対し、相続財産である別紙物件目録一ないし三記載の土地(以下「本件全土地」という)の一部について借地権相当額を控除すべきであるとして、それぞれ別表1の「第一次更正の請求」欄記載のとおり更正の請求をした(以下「第一次更正の請求」という。)。

(三)  被告は、平成六年六月二九日、原告らに対し、第一次更正の請求に対して更正をすべき理由がない旨の通知をした(本件通知処分)。

(四)  被告は、平成六年七月八日、原告らに対し、別表1の「第一次更正等」欄記載のとおりの内容の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分(第一次更正等)をした。

(五)  原告らは、平成六年八月二五日、被告に対し、第一次更正等につき異議申立てをした。

3(一)  原告らは、平成六年一一月二日、被告に対し、同年一〇月一六日付け遺産分割協議書のとおり原告らが相続財産を取得したとして、それぞれ別表1の「第二次更正の請求」欄記載のとおり更正の請求をした(以下「第二次更正の請求」という。)。

(二)  被告は、平成六年一一月二五日、同表の「第二次更正等」欄記載のとおり、原告らに対して更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をした(第二次更正等)。

(三)  原告らは、平成七年一月二五日、第二次更正等及び過少申告加算税賦課決定処分につき異議申立てをした。

4  被告は、右2(五)と右3(三)の各異議申立てを併合審理し、平成七年二月一五日付けで、原告正三以外の原告らの過少申告加算税の賦課決定処分の異議申立てについては却下し、その余の申立てについて棄却する旨の決定をした。

5  原告らは、同年三月一六日、国税不服審判所長に対し、右異議決定を経た後の本件通知処分、第一次更正等及び第二次更正等について審査請求をした(以下「本件審査請求」という。)。国税不服審判所長は、平成八年三月二九日、右審査請求を棄却する旨の裁決(以下「本件裁決」という。)をし、右裁決書の謄本は、同年四月六日、原告正三に送達された。

6  しかしながら、被告による本件全土地の評価は次のとおり違法であり、右評価に基づく本件通知処分、第一次更正等及び第二次更正等はいずれも違法である。

(一) 被告は、財産評価基本通達(平成五年六月二三日付課評二―七・課資二―一五六による改正前のもの。以下「評価基本通達」という。)及びこれに基づき各国税局長が定めた財産評価基準(以下「評価基準」という。)に基づき路線価方式に従って本件全土地を評価したが、右評価額は、本件相続時である平成四年当時の本件全土地の適正な時価を上回り、違法である。

(二) 被告は、正之が、昭和五六年六月以降、原告正三に対し、本件全土地(地積合計198.16平方メートル)のうち178.11平方メートルの部分(以下「本件土地」という。)を建物所有目的で賃貸していたことを看過し、借地権相当額を控除せずに本件全土地を評価しているから、右評価は違法である。

7  よって、原告らは、被告に対し、本件通知処分、第一次更正等及び第二次更正等の取消しを求める。

二  本案前の答弁の理由

1(一)  本件は取消訴訟であり、裁決があったことを知った日から三か月以内に訴えを提起する必要があり(行訴法一四条一項)、右出訴期間の期間の計算は、裁決があったことを知った日を初日とし、これを期間に算入して計算する(最一小判昭和五二年二月一七日・民集三一巻一号五〇頁)。

(二)  原告正三以外の原告らは、平成七年三月一七日、本件審査請求につき、原告正三を総代として選任し、国税不服審判所長に届け出た。総代は、国税通則法上、他の共同不服申立人のために、不服申立ての取下げを除き、当該申立てに関する一切の行為をすることができ(同法一〇八条三項)、共同不服申立人についての裁決書の代理受領権限も付与されているから(同条五項参照)、行訴法一四条一項所定の出訴期間の遵守を考えるに当たっても総代への裁決書の送達によって総代が裁決があったことを知ったと推認され、その結果、他の申立人も右裁決を知ったものと擬制又は少なくとも推認される。

(三)  本件裁決の裁決書の謄本は、平成八年四月六日、原告正三の住所地に書留郵便物で配達されたから、同原告は同日本件裁決があったことを知ったと推定され、更に同原告を総代に定めたその余の原告らも、同日、本件裁決を知ったものと推認される。

そうすると、原告らは、同年七月五日までに訴えを提起すべきところ、本件訴えは、同月八日に提起されたものであるから、取消訴訟の出訴期間を徒過しており不適法である(行訴法一四条一項、四項)。

2(一)  原告らに対する本件通知処分は、本件申告による納付すべき税額を増額する内容の第一次更正等がされたことにより、これに吸収されて消滅する関係にあるから、本件訴えのうち本件通知処分の取消しを求める部分は訴えの利益を欠き、不適法である。

(二)  原告正三に対する第一次更正等は、その後にされた第二次更正等により納付すべき税額が増額され、吸収されて消滅する関係にあるから、本件訴えのうち原告正三に対する第一次更正等の取消しを求める部分は訴えの利益を欠き、不適法である。

(三)  原告正三以外の原告らに対する第二次更正等は、いずれも第一次更正等による納付すべき税額を減額する内容で納税者に有利な効果をもたらす処分であるから、原告正三以外の原告らは、もっぱら減額された当初の第一次更正等の取消しを求めれば足りる。したがって、原告正三以外の原告らの第二次更正等の取消しを求める部分は、訴えの利益を欠き、不適法である。

三  請求原因に対する認否

1  請求原因1ないし5の各事実は認める。

2  同6は争う。

四  本案前の答弁の理由に対する原告の反論

1  本案前の答弁の理由1について

(一) 「裁決があったことを知った日」(行訴法一四条一項)とは、不服申立人本人が実際に裁決があったことを了知した日であり、国税通則法上の総代(同法一〇八条)への送達をもって他の不服申立人について裁決があったことを知ることを擬制又は推定することはできない。

(二) 原告正三の経営する歯科医院の従業員である杉本時子は、平成八年四月六日、本件審査請求の裁決書の謄本を受領し、所定の郵便物置場に置いておいたが、原告正三は、同月九日になって初めて右裁決書の謄本を了知した。原告正三は、同日、同居している原告初子に右裁決書の謄本を受領した旨通知し、原告エイ子、同多恵子、同眞佐子に対し、同月一〇日到達の速達郵便で通知したが、原告眞佐子は、当時不在であり、同月一二日、右通知を了知した。

(三) 原告らが本件裁決があったことを知った日は、最後に右裁決の送達を知った原告眞佐子がこれを了知した日である平成八年四月一二日である。原告らは、同年七月八日に本件を提起しており、本件訴えは、出訴期間を徒過したものではない。

2  同2についてはいずれも争う。

五  被告の主張

被告による本件全土地についての評価は、次のとおり適正であって、原告正三以外のその余の原告らに対する第一次更正等(ただし、第二次更正等により一部取り消されたもの。)及び原告正三に対する第二次更正等はいずれも適法である。

1  本件全土地の時価について

(一) 相続税法(以下「法」という。)二二条は、相続により取得した財産の価額を、特別の定めのあるものを除き、当該財産の取得の時、すなわち相続時における時価と定めている。右の「時価」とは、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立する価額、すなわち財産の客観的な交換価値である。

(二)(1) 右財産の客観的な交換価値は、納税者間の公平の確保、納税者の便宜、徴税費用の節減の要請に鑑みれば、評価基本通達及び評価基準によって予め定められた評価方法により画一的に評価するのが合理的である。評価基本通達によれば、宅地の評価方法は原則として路線価方式又は倍率方式によるが(同通達一一(1)(2))、本件全土地は、市街地的形態を形成する地域にある宅地であるから路線価方式により評価することになる(同通達一一(1))。

(2) 被告は、平成四年分の路線価を評定するための基準とする地点として、大阪市西区京堀町一丁目一二番一三号の土地(以下「本件路線価標準地」という。)及び大阪西五―五の公示地(以下「本件公示地」という。)を選定し、本件路線価標準地の本件公示地に対する地域格差率を、五名の精通者による意見の平均により131.06パーセントとして、本件路線価標準地の正面路線の路線価を一平方メートル当たり五〇〇万円と評定した。

そして、本件全土地は本件路線価標準地と同一路線に面しているから、その正面路線の路線価(一平方メートル当たり五〇〇万円・別表2③)に奥行価額補正率九五パーセントを乗じ(同表④、同通達一五・付表1参照)、間口狭小補正率九七パーセントを乗じ(同表⑤、同通達二〇(3)・付表4参照)、さらに奥行長大補正率九九パーセントを乗じて(同表⑥、同通達二〇(3)・付表5参照)補正を行った後の同表⑦の一平方メートル当たりの評価額に、本件全土地の面積(198.16平方メートル)を乗じると、本件全土地の自用地としての価額(以下「自用地価額」という。)は、結局、九億〇三八九万一九七八円となる(同表⑨)。

(三)(1) 財産の客観的交換価値の評価については、土地の実勢価格が路線価を下回るなど、路線価等に基づいて評価することが著しく不適当であると認められる特別の事情がある場合には、他の適正な方法によって評価することも認められるというべきである。

そこで、本件全土地の自用地価額についての不動産鑑定士による鑑定結果を検討するに、不動産鑑定士足立良夫の鑑定(乙六の1、2、以下「被告鑑定」という。)によれば一〇億九〇〇〇万円(一平方メートル当たり五五〇万円)、不動産鑑定士中井敬和の鑑定(以下「裁判所鑑定」という。)によれば九億四一二六万円(一平方メートル当たり四七五万円)とされており、右各鑑定結果はいずれも路線価方式による評価額を上回っているから、本件全土地につき路線価方式に基づいて評価することが著しく不適当であると認められる特別の事情はない。

(2) なお、不動産鑑定士平岩宗晴の鑑定結果(甲一、以下「原告鑑定」という。)は七億五七三六万七五二〇円(一平方メートル当たり三八二万二〇〇〇円)であり、前記の路線価方式による評価額を下回る。しかし、原告鑑定は、地域分析について、地域要因(街路条件、行政条件等)の分析が杜撰であって、商業地域としての分析もなく、標準的使用の分析にも誤りがあること、取引事例比較法の適用による比準価額の試算について、選定した取引事例について必要な標準化補正をせず、不合理な事情補正を行っていること、公示価格との規準による規準価格の試算について、本件公示地との地域格差率を合理的な理由もないのに103.09パーセントとしていることなどから、適正な評価方法とはいえない。

2  借地権割合の控除について

原告正三は、正之の所有に係る本件土地の上に別紙物件目録記載四の建物(以下「本件建物」という。)を所有して本件土地を占有していたが、原告正三が正之に対し賃料又はそれに代わる本件土地の利用の対価を提供していた事実はないから、原告正三の本件土地の利用は、賃借権ではなく使用借権に基づくものである。したがって、本件全土地の価格の評価については本件土地の借地権割合を控除せず、自用地として評価すべきである。

3  相続税額の計算

本件全土地の価額は、前記の自用地価額(別表2⑨)を基に、租税特別措置法六九条の三第一項(平成六年法律第二二号による改正前のもの)を適用すると三億四〇二六万四〇五九円になる(同表⑩、⑪)。

原告らが本件相続により正之から取得した財産を評価基本通達及び評価基準に基づいて評価すると、別表3①ないし⑥の被告主張額欄のそれぞれの原告欄に記載の価額となり、各原告が取得した財産の合計金額は、同表⑦の各、原告欄記載のとおりになる。原告らの相続税の課税価格の合計額は、同表⑪の「合計」欄記載のとおり三億三九三〇万四〇〇〇円になる(法一三条、一九条)。

右課税価格の合計額から基礎控除額九五五〇万円(法一五条一項、二項(平成六年法律第二三号による改正前のもの)、別表4③)を控除した二億四三八〇万四〇〇〇円が課税される遺産総額になる(同表④)。右金額を各相続人の法定相続分(民法九〇〇条)に応じて按分し(同表⑥の各原告欄。一〇〇〇円未満切り捨て)、定められた税率を乗じると(同表⑦)、各原告の相続税の総額の基礎となる税額は同表⑧の各原告欄記載のとおりとなり、その合計金額は五七四八万五〇〇〇円になる(一〇〇円未満切り捨て)。

そして、右金額に原告らの課税価格の合計額に占める割合(同表②)を乗じた各原告の算出税額は同表⑨の各原告欄記載のとおりとなり、原告初子については、配偶者に対する相続税の軽減により二八七四万二九〇〇円を控除した結果(法一九条の二、同表⑩)、各原告の納付すべき税額は、それぞれ同表⑪の各原告欄記載のとおりになり、その合計金額は二八七四万二六〇〇円(同表⑪の「合計」欄)になる。

六  被告の主張に対する認否及び原告の反論

1  被告の主張1(一)は認める。

2  同1(二)は争う。平成四年当時、路線価は実勢価格を上回っていたから、「時価」(法二二条)の評価につき、路線価方式に基づいて評価することが著しく不適当であると認められる特別の事情が存在した。したがって、本件全土地の自用地価額は不動産鑑定評価に基づいて評価されるべきである。

3  同1(三)は争う。不動産価額が急激な下落傾向にあった平成四年当時の不動産鑑定評価は極めて困難であるから、申告納税制度の趣旨に鑑みれば、本件全土地の評価は、原告鑑定が明らかに又は恣意的に低価格の鑑定であるとの反証がない限り、本件申告の基礎となった原告鑑定によるべきである。

被告鑑定は、取引事例比較法による比準価額方式を採用しているが、選定した取引事例がいずれも本件全土地の売買事例として参考にならないこと、地価公示標準地との比較による規準価格の算定については、本件公示地との関係で地域要因の分析を誤って地域格差率を130.80パーセントとしていること、本件全土地価格の規準とはなり得ない大阪西五―三の公示地を選定して規準価格を算定していることなどから、本件全土地の自用地価額の評価としては不適切である。

本件全土地の自用地価額は原告鑑定のとおり七億五七三六万七五二〇円であり、被告の路線価方式による評価額を下回る。

4  同2は争う。正之は、昭和五六年六月以降、原告正三に対し、本件土地を賃貸し、原告正三は、本件土地上の同原告の所有に係る本件建物に正之と同居して、その約二分の一の部分を正之に賃貸し、本件土地の賃料と本件建物の賃料を相殺する旨の合意をしていた。したがって、本件土地には借地権が存在するため、本件全土地の評価については、自用地価額から右借地権相当額である五億四四五八万九一三六円を控除すべきである(評価基本通達二五、二七)。本件全土地の評価は、二億一二七七万八三八四円である。

5  同3のうち、本件全土地以外の相続財産の存在及び評価の部分(別表3の②ないし⑥、⑧、⑩欄)については認め、その余を争う。

第三  証拠

本件記録中の書証目録及び証人等目録の記載を引用する。

理由

一  請求原因事実1ないし5の各事実、被告の主張1(一)、同3のうち本件全土地以外の相続財産の存在及び評価の部分(別表3の②ないし⑥、⑧、⑩欄)、以上は、当事者間に争いがない。

二  本案前の主張について

1(一)  本件訴えは、国税に関する法律(相続税法)に基く処分で、審査請求をすることができる処分であるから(国税通則法七五条一項一号、三項)、訴えの提起は、審査請求についての裁決を経た後(同法一一五条一項本文)、裁決があったことを知った日から起算して三か月以内に提起しなければならない(同法一一四条、行訴法一四条一項、四項)。そして、右出訴期間の計算は、裁決があったことを知った日を初日とし、これを期間に算入して計算すると解される(最一小判昭和五二年二月一七日・民集三一巻一号五〇頁)。

(二)  そこで、本件訴えが右期間内に提起されたか否かを検討するに、前記争いのない事実、甲二、三、乙一ないし三、検乙一の1ないし3、原告正三及び同初子の各本人尋問の結果、並びに弁論の全趣旨によれば、以下の各事実が認められる。

(1) 原告正三は、歯科医師で、大阪市西区京町堀一丁目所在の本件建物の一階の一部を歯科診療所として、歯科医院を経営している。その妻とその母の原告初子は、右診療所の業務を手伝っていた。原告初子は本件建物の一階の一部に、原告正三及びその家族は本件建物の二階部分にそれぞれ居住しており、右診療所と原告正三の居宅部分及び同初子居宅部分はそれぞれ機能的には独立しているが、ドア及び廊下で仕切られているだけで、自由に行き来ができる構造になっていた。

(2) 大阪西郵便局は、本件建物所在地の配達業務を担当しており、平日及び土曜日には一日二回(午前一〇時三〇分から同一一時ころに一回、午後二時三〇分から同三時ころに一回)配達業務を行っている。郵便配達員は、原告正三及びその家族宛の郵便物が書留郵便の場合、歯科医院の診療時間中(平日は午前九時から午後一時までと午後二時三〇分から午後六時三〇分までの二回、土曜日は午前九時から午後一時まで)であれば、その受付の従業員に直接手渡していた。

受付の従業員は、原告正三及びその家族宛の郵便物を一緒に受領し、原告正三が右診療所内の技工室にいれば同人に直接手渡すが、同原告が技工室にいない場合には同室の机の上の所定の郵便物置場に置いておき、同原告が後で自ら郵便物を取り出すことになっていたもので、これは、原告正三の母である原告初子も、原告正三の家族も知っていた。原告正三は、日常、技工室で仕事をし、同所には頻繁に出入りして郵便物を受領していたし、原告初子も、原告正三の家族もこのようにして郵便物を受領していた。なお、受付の従業員は、速達等の特別な郵便物の場合は、それを郵便物置場に置くだけでなく、原告正三がそれを確かに受領したかどうかを後で確認することも多かった。

(3) 原告らは、平成七年三月一六日、国税不服審判所長に対し、本件審査請求をし、原告正三以外の原告らは、同月一七日、本件審査請求につき原告正三を国税通則法一〇八条所定の総代として選任し、国税不服審判所長に届け出た。同所長は、平成八年三月二九日、本件審査請求を棄却する旨の裁決をした。

(4) 右裁決書の謄本は、同年四月六日(土曜日)午前一一時ころ、原告正三の住所地に書留郵便物で配達され、歯科医院の従業員の杉本時子が右裁決書の謄本を受領し、診療所内の技工室の所定の郵便物置場に置いた。原告正三は、同日(土曜日)の午後一時まで診療所内で診察の業務に従事した。そして、翌七日(日曜日)は休診日であったが、原告正三は、同月八日(月曜日)は通常に午前九時から午後一時までと午後二時三〇分から午後六時三〇分までの間診察業務を行い、同月六日から八日までの間、旅行や外泊をすることもなく、本件建物内で生活していた。

(5) 原告正三は、原告エイ子、同多恵子、同眞佐子に対し、同月一〇日到達の速達郵便で本件裁決があったことを通知した。原告エイ子及び同多恵子は、同日、本件裁決があったことを初めて知り、原告眞佐子は、不在であったので、同月一二日に右通知を了知して本件裁決があったことを初めて知った。

(6) 原告らは、平成八年七月八日、本件訴えを提起した。

(三)  以上の事実経過によれば、原告正三及び原告初子は、平成八年四月六日杉本時子が本件裁決の裁決書を受領した後、遅くとも平成八年四月八日(月曜日)までには、右裁決書を受領するか又はその到着の連絡を受けて、いずれも、本件裁決があったことを現実に知ったものと推定される。

原告正三は、同日の診察終了後、所用で一時外出するなどしたため、結局、同月九日になって初めて本件裁決があったことを実際に了知したと主張し、原告初子も、同日初めて同正三からその裁決書を見せられたと主張し、甲二及び三の各陳述書、原告正三及び同初子の各本人尋問の結果にはこれに沿う部分がある。しかし、原告正三及び原告初子が同月六日から同月八日までの間、本件建物内で通常に生活しながら同月六日に通常の扱いどおりに技工室に置かれた裁決書を受領し、これを了知できなかった事情は何ら認められないこと、原告正三が郵便物を確認していないとすれば、歯科医院の業務を手伝っていた原告正三の妻や、原告正三の家族が誰一人として自分宛の郵便物の存否を四日間もの間確認しなかったということになり、これは如何にも不自然であること、更に、原告らは、本件訴訟において被告から出訴期間の徒過の主張が提出されて初めて、右の主張をするに至ったという訴訟経過等に照らすと、右各陳述書の内容や各本人尋問の結果は採用することはできず、他に前記認定を覆すに足りる証拠はない。

そうすると、原告正三及び同初子の本件訴えは、その余の点につき判断するまでもなく、出訴期間経過後に提起されたもので、不適法であるといわざるを得ない。

(四)  次に、原告正三が本件裁決を知ったことをもって、原告エイ子、同多恵子、同眞佐子も本件裁決を知ったものと擬制されるかについて検討する。

右原告三名が本件裁決があったことを「知った日」(行訴法一四条一項)とは、もちろん、原告三名それぞれについて本件裁決の裁決書の交付、口頭の告知その他の方法により本件裁決の存在を現実に知った日を指すものといわざるを得ない。ただ、右原告三名が原告正三を国税通則法上の総代として国税不服審判所長に届け出たことにより、同原告が本件裁決があったことを知ったことから、右原告三名も行訴法一四条一項の関係で本件裁決があったことを知ったものと擬制されるかどうかが問題になる。

そこで、この点について検討するに、総代の制度は、国税通則法上、多数人が共同して異議の申立てや審査請求をする場合に、その手続を進める上での便宜及び事実上の判断内容の統一性の確保のために認められたものであり、総代は、他の多数の共同不服申立人のために、不服申立ての取下げを除き、当該申立てに関する一切の行為をすることができ(国税通則法一〇八条三項)、共同不服申立人は総代を通じてだけこれらの行為をすることができ(同条四項)、国税不服審判所長等の通知等その他の行為は一人の総代に対してすれば足りる(同条五項)と規定されている。また、国税通則法上、総代の制度とは別に、代理人の制度も設けられており(同法一〇七条)、不服申立人の代理人は、弁護士や税理士に限られないが、代理人は、不服申立ての取下げ及び代理人の選任はできないとされている(同条二項ただし書)。右各規定からすると、総代に対して裁決書が通知された場合には、法律上、その総代を選任した各共同不服申立人本人にも裁決が通知されたことになるのは確かである。

しかしながら、右の場合に、各共同不服申立人本人について、行訴法一四条一項の「裁決があったことを知った」と擬制することは同項の解釈として無理があると考えられる。けだし、総代の制度は、異議申立て及び審査請求の手続において多数の共同不服申立人がいる場合の主として異議審理庁又は国税不服審判所長側の手続上の便宜のためのものであり、これに対して、行訴法一四条一項の出訴期間の制度は、行政上の法律関係を早期に安定させて秩序維持を図るため、当該処分の現実の了知という主観的要件のもとに三か月という短い期間で当該処分の形式的確定という効果を生じさせるものであり、それぞれの趣旨を異にする。しかも、行訴法一四条一項は裁決があったことを「知った」ことを要件としている反面、この場合の三か月の出訴期間については同条三項ただし書の「正当な理由があるとき」についての救済規定は定められていない。仮に、総代が裁決があったことを知ったときに他の共同不服申立人本人も裁決があったことを知ったことが擬制され、その日から三か月の出訴期間が進行すると解すると、共同不服申立人といっても共同相続人の相続税に関する不服のように相互に利害相反する場合もあり得るにもかかわらず、総代が裁決があったことを知ったが他の共同不服申立人が何らかの事情でそのことを到底知り得ない事情があったときにおいても、常にそのまま三か月の出訴期間が進行することになり、その結果は不合理である。また民法一〇一条は、意思表示の効力についての法的影響の有無に関する規定であって、総代に他の共同不服申立人宛の裁決の通知を受ける権限があるからといって、同条を根拠に被告主張の擬制をすることもできない。

(五)  以上によれば、右原告三名の本件訴えは、原告正三を総代に選任したことにより、行訴法一四条一項の適用上、平成八年四月八日までに本件裁決の裁決書を知ったものと擬制することはできず、前記認定のとおり、同月一〇日又は一二日に本件裁決があったことを知ったものというべきであるから、出訴期間の期間内の提訴であるということになる。

2(一)  次に、原告エイ子、同多恵子及び同眞佐子の本件訴えのうち、本件通知処分の取消しを求める部分は不適法である。けだし、本件通知処分は、右原告三名の申告による税額の減額を拒否する処分であり、第一次更正等は、右の申告された税額を含めて右原告三名の相続税の納税者の納税額の総額を確定する処分であり、本件通知処分の内容を包摂する関係にあるから、右原告三名としては、本件通知処分の内容を争う場合においても、第一次更正等の取消しを求めれば足り、その他に更に本件通知処分の取消しを求める訴えの利益を欠くというべきであるからである(東京高判平成四年六月二九日・訟月三九巻五号九一三頁参照)。

(二)  更に、右原告三名の訴えのうち、第二次更正等の取消しを求める部分は、不適法である。けだし、右原告三名に対する第二次更正等は、いずれも第一次更正等による税額を減額する内容であり、それは、当初の更正処分とは別個独立の課税処分ではなく、その実質は、当初の第一次更正等の変更であり、それによって、税額の一部取消しという右原告三名に有利な効果をもたらす処分と解するのが相当であるから、右原告三名は、第二次更正等により確定した相続税額に不服がある場合においても、第二次更正等の取消しを求める利益はなく、専ら減額された当初の第一次更正等の取消しを訴求することをもって足りるというべきであるからである(最二小判昭和五六年四月二四日、民集三五巻三号六七二頁参照)。

(三)  また、原告エイ子、同多恵子及び同眞佐子について、第二次更正等による納税額(これは、前判示のとおり第一次更正等の一部取消によりその納税額が減額されたもの)は、いずれも、本件申告によるそれぞれの納税額を更に下回ることになり、本件申告が有効である限り、右原告三名は、それぞれ本件申告による納税額を下回る範囲で第二次更正等により減額された第一次更正等の取消しを求めることができないのではないかが問題となる。

しかし、第二次更正等により減額された第一次更正等は、右原告三名については本件申告による納税額を減額するものではあるが、本件申告は未分割遺産につき法定相続分に従ってされたものであって、原告らが第一次更正等の後にした遺産分割により現実に取得した財産を基礎として算出した課税価格及び相続税額による第二次更正の請求は、法三二条一号に基づき、実質的には、第一次更正等があった後の事実を課税要件事実とする申告の性質をも有するというべきである(改正前の相続税法当時の裁判例として東京地判昭和四五年三月四日・行集二一巻三号四二三頁、判時六一一号三一頁参照)。そして、第二次更正等により減額された第一次更正等は、右の性質を有する第二次更正の請求による納税額を結果的に増額することになるから、右原告三名は、当初の申告による納税額にかかわらず、その取消し(第二次更正の請求に基づく納付すべき税額を超える部分であるが右税額は零円であるから、結局、全部になる。)を求める利益があるというべきである。

3  以上によれば、原告正三及び同初子の本件訴え、その余の原告三名の本件訴えのうち本件通知処分及び第二次更正等の各取消しを求める部分は、いずれも訴えの利益を欠くものとして不適法である。

そして、原告エイ子、同多恵子及び同眞佐子の第一次更正等(ただし、それぞれ第二次更正等により一部取消された後のもの)の取消しを求める部分のみが適法であることになる。以下、右部分について検討する。

三  本件全土地の自用地としての評価について

1  法二二条は、相続税の課税価格となる相続財産の価額は、特別の定めのあるものを除き、当該財産の取得の時、すなわち相続時における時価と定めている。そして、右の時価とは、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立する価額、すなわち財産の客観的な交換価値であるというべきである。

右財産の客観的な交換価値は、必ずしも一義的に確定されるものではなく、納税者間の公平の確保、納税者の便宜、徴税費用の節減の要請から、一般的に、評価基本通達及び右通達に基づき各国税局長が定めた財産評価基準によって予め定められた評価方法により画一的に評価する扱いがされている。もっとも、右通達を法律と同視することはできないから、その内容は、相続時における相続財産の適正な時価を評価するものとして合理的で適正なものでなければならないのは当然である。

そして、相続財産の価額は、第一次的には、平等原則の観点から右通達に基づき一般的な取扱いに従って評価される必要があるが、右通達に基づくことによっては相続時における相続財産の適正な時価を評価することができず、実質的に租税負担の公平を害するような特別の事情がある場合には、別途、法二二条の時価を算定するための他の合理的な方法によることができるというべきである。

2  被告が主張する路線価方式による相続財産の評価方法は、被告の主張1(一)、(二)記載のとおり、評価基本通達に基づき、地価公示価格、精通者の意見等を基にして各国税局長が評定した路線価をもとに、評価基本通達一五ないし二〇の各種画地調整率による補正を行うものであり、不動産の時価の評価方法として合理性を有しているというべきである。本件全土地の自用地としての評価額は、乙三、五及び弁論の全趣旨によれば、被告主張のとおりの路線価方式による評価方法に従えば、九億〇三八九万一九七八円(一平方メートル当たり四五六万一四二五円)と算出されることが認められる(別表2⑨)。

そうすると、本件全土地の自用地としての評価額は、特別の事情がない限り九億〇三八九万一九七八円と認めるのが相当である。

3  原告らは、平成四年当時、路線価は実勢価格を上回っていたから、右の路線価方式に基づく評価は、法二二条にいう時価の評価方法としては不適切であって、原告鑑定(甲一)に基づき、本件相続時における本件全土地の時価は七億五七三六万七五二〇円(一平方メートル当たり三八二万二〇〇〇円)であると主張する。

そこで、本件相続時における本件全土地の実勢価格について、不動産鑑定士による鑑定結果を基に、更に検討すると、次のとおりである。

(一)  甲一、五の1ないし甲六、九ないし一九、乙一、五、六の1ないし乙九、不動産鑑定士中井敬和の鑑定結果及び弁論の全趣旨によれば、本件全土地は、幅員約12.7メートル(両側歩道を含む)の舗装市道「平野町京町堀線」に等高で接面しており、主要幹線道路の四つ橋筋に接続可能であり、地下鉄四ツ橋線肥後橋駅から約四〇〇メートルの距離に所在すること、近隣は、都市計画法上、市街化区域の商業地域(建ぺい率八〇パーセント、法定容積率四〇〇パーセント)、防火地域に指定されており、店舗・事務所の占める割合が高く、二〇〇平方メートル程度の矩形の画地(概ね略長方形)上に中層程度の店舗・事務所ビル等が建てられており、これが近隣地域の標準的使用形態であることが認められる。これに対し、原告鑑定(甲一)では、地域要因の環境条件につき商業地域としての分析がされているかが不明確であり、近隣地域の標準的使用につき間口一二メートル、奥行き一五メートルというかなり整形な土地と分析しており、この点で、原告鑑定による評価方法には疑問がある。

(二)  右(一)掲記の各証拠によれば、本件公示地である大阪西五―五は、幅員約八メートルの市道に接面し、主要幹線道路のなにわ筋に接続可能であり、地下鉄四ツ橋線肥後橋駅から約七二〇メートルの距離にあること、近隣の行政的条件は本件全土地と同様であるが、業務商業地域としての環境条件は本件全土地に比べてやや劣ることが認められる。そして、被告主張に係る本件路線価標準地の本件公示地に対する地域格差率についての五名の精通者による意見の平均は131.06パーセント、本件全土地の本件公示地に対する地域格差率は、被告鑑定(乙六の1、2)では130.8パーセント、裁判所鑑定では被告鑑定に比して交通接近条件の評価は異なるものの一一七パーセントであるのに対し、原告鑑定(甲一)では、街路条件、交通接近条件及び環境条件についての評価がいずれも異なり103.09パーセントと分析されている。

(三)  右の結果、本件全土地の自用地価額については、路線価方式によれば九億〇三八九万一九七八円(一平方メートル当たり四五六万一四二五円)であるのに対し、被告鑑定は一〇億九〇〇〇万円(一平方メートル当たり五五〇万円)、裁判所鑑定は九億四一二六万円(一平方メートル当たり四七五万円)、原告鑑定は七億五七三六万七五二〇円(一平方メートル当たり三八二万二〇〇〇円)と、それぞれ算出されている。

4  右3によれば、原告鑑定はその地域要因の分析においてやや不正確な点があるといわざるを得ず、また、取引事例比較法の適用による比準価額の試算における標準化補正及び地域格差の根拠も不明確であり、公示価格との規準による規準価格の試算についても本件公示地との地域格差率103.09パーセントについて合理的な説明がされているとはいい難い。したがって、原告鑑定を採用することはできない。

これに対して、被告主張の路線価方式に基づく本件全土地の評価額九億〇三八九万一九七八円(一平方メートル当たり四五六万一四二五円)は、被告鑑定及び裁判所鑑定における鑑定結果に照らしても、本件相続時における本件全土地の実勢価格を上回ることはなく、法二二条にいう時価の評価として不適切であるとはいえず、実質的に租税負担の公平を害するような特別の事情があるとは認められない。被告主張の評価方法によっても他に右特別の事情があるとは認められない。

以上によれば、右の九億〇三八九万一九七八円をもって本件相続時の本件全土地の価額とすべきものである。

四  借地権割合の控除について

原告らは、昭和五六年六月以降、正之は、原告正三に本件土地を賃貸し、同原告は、本件建物の約二分の一の部分を正之に賃貸し、それぞれの賃料を相殺する旨の合意をしていたから、本件全土地の評価については、自用地価額から右借地権相当額である五億四四五八万九一三六円を控除すべきである(評価基本通達二五、二七)と主張する。

しかしながら、前記一の争いのない事実、乙一、検乙一の1ないし3、原告正三及び同初子の各本人尋問の結果、並びに弁論の全趣旨によれば、原告正三は、正之の所有であった本件土地の上に本件建物を所有して本件土地を占有していたこと、本件建物は一階のうち道路に面した部分が歯科医院、二、三階部分が原告正三及びその家族の居住部分になっており、このうち二階の仏間(六帖)、納戸、三階の洋間の三分の二、ベランダ及び屋上を正之が主として使用して居住していたこと、原告正三が正之に対して本件土地の賃料やそれに代わる本件土地の利用の対価を現実に支払ったことはなく、また、正之も原告正三に本件建物の使用部分についての賃料やその使用の対価を支払ったこともないことが認められる。右事実によれば、正之は、本件建物に原告正三とともに同居していたに過ぎず、原告正三とは別に本件建物を独立して占有していたと評価することはできず、正之が本件建物を使用する関係も原告正三が本件土地を使用する関係も、いずれも、賃貸借契約に基づくものであったとはいえないというべきである。

そうすると、本件全士地は、自用地として評価すべきであって、原告らの右主張は採用できない。

五  まとめ

本件全土地の価額は以上のとおりであり、その他の課税要件については前記一のとおり争いがないから、原告エイ子、同多恵子及び同眞佐子に対する第一次更正等(ただし、第二次更正等により一部取り消された後のもの。)は、適法である。

六  原告正三及び同初子の本件訴え、その余の原告三名の訴えのうち、本件通知処分及び第二次更正等の取消しを求める部分は、いずれも不適法であるからこれらを却下し、右原告三名の第一次更正等(ただし、第二次更正等により一部取り消された後のもの。)の取消しを求める部分については、いずれも理由がないことに帰するからこれを棄却することとし、訴訟費用については行訴法七条、民訴法六一条、六五条一項をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官八木良一 裁判官北川和郎 裁判官和田典子)

別紙物件目録<省略>

別表1〜4<省略>

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